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よもやま話

ドラマ 白い巨塔 2019

山崎豊子著「白い巨塔」は何度もドラマ化されている。1978年に放映された田宮二郎主役から40年を経て内容は改変されているのだが、いささか納得がいかない設定にはがっかりした。

原作では訴訟に至った患者は胃癌で胸膜播種だったが、今回は膵臓癌と血管内悪性リンパ腫(大細胞びまん型)に変更されていた。

財前五郎が術前にPET検査をしなかったこと、肝生検をしなかったことが問われた裁判の設定になっているのだが・・・・ここで疑問。

内科医の里見が膵臓癌を疑ってもCTの読影が出来なかったのなら、自身でPET検査をすべきだと思うのだが。

それと、採血検査でリンパ腫の兆候が有ったはずだ。少なくともγ-GTやALTは高値であり、貧血や血小板の減少などが出ていたはずなのだが・・

そうなると、手術をした財前ではなく、見落とした里見に非が有ることになる。

しかし、医療監修をしたDRは診断が難しく、しかも珍しいアジア亜型血管内リンパ腫の併存としたのだろうか?

術後に急速に悪化したなら、相当に進んだ状態であるから、CTの段階で肝に腫瘍の存在が分かり手術対象にならなかったはずだ。

仮に術前には分からず、術後に急速に悪化したならば採血で異常が見られなかったとしたら、おそらくPET検査でも出なかっただろう。

現実に後者の場合が有ったなら医療裁判で非が認められることは無いと信じたい。

ドラマの医療監修は演出との兼ね合いもあり難しいとは聞いたことがあるが、膵頭十二指腸切除術は開腹でも12時間以上は掛かるものだから、それよりも時間が掛かる腹腔鏡手術は通常では行わない。財前五郎が如何に優秀な外科医と描きたいのは分かるが、ブラックジャックだって腹腔鏡手術はしないだろう。

手術は成功したのに患者が亡くなるのは米国ドラマのグレースアナトミーでは良く出てくるシーンだ。

医療ドラマは面白いけど、現実離れしたところが否めない。

やっぱりドクターXの様に「私、失敗しないので・・」と言い切る方がモヤモヤした気持ちにならなくて良いとは思うのだが。

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