「おはぎ」と「ぼたもち」
「おはぎ」と「ぼたもち」の違いは何か?、そう検索すると秋には採れ立ての小豆が出回るので、皮まで柔らかいから「粒あん」にして秋の彼岸に食べるが、春の彼岸の頃には小豆が硬くなるので粉にして「こしあん」にする。つまり、季節の違いで作り方が変わり、そして呼び名が変わるということだ。
しかし、スーパーやコンビニに並ぶ品にはその違いはなく「おはぎ」と書いたものが多い。
呼び名がどうであろうと、世の中には「粒餡派」と「こし餡派」が存在する。絶対にこちらではなくてはならないと言えずとも、どちらかと言うと、「粒餡が好き」とか「こし餡が好き」との曖昧な境界線で線引きされた派閥もあるだろう。
柏屋の薄皮まんじゅうには「粒餡」と「こし餡」があるのだが、最初に食べたのが「こし餡」だったせいか、「粒餡」には違和感が残るのだ。
この「最初に食べた味」は脳にすり込まれるのだそうだ。
カップヌードルの味やコカコーラの味は脳にすり込まれているから、美味いと感じるのだとか・・・
そして、多くの人に共通するのが母親が作ってくれたカレーの味が1番美味しく感じるそうだ。
しかし、私の母が作ったカレーが1番美味いと思ったことは無い。つまり、母親は料理が下手だったのである。
中学生の頃だったか、「おはぎ」作りを手伝わされた。濡れ布巾に粒餡を広げて、そこにぼた餅を入れて成形する作業だった。
やってみると意外に難しく、均等にあんこが入らなかった記憶だけが残っている。
カレーと同様に、この粒あんの「おはぎ」は私の脳へはすり込まれず、「こし餡」の方が好きなのだ。
筒井康隆が冷やし中華が夏しか無い事に文句を言っていた一文があったが、今では冬でも食べられる。
「おはぎ」も「ぼたもち」も境界が無くなって、季節を問わずにどちらも食べられるようになった。
考えてみると、良い時代なのだろうが、同時に季節感も無くなってしまったのだろう。