ヨーカドー春日部店が閉店
前々から噂もあったが、ついにヨーカドー春日部店が11月24日に閉店と発表された。
GMS(General Merchandise Store:総合スーパー)と云う業態はワンストップ・ショッピングで、「何でも揃う」と云う魅力で、一般小売店を潰してきた。
今では、「魚屋」、「八百屋」、「肉屋」、「果物屋」、「おもちゃ屋」と「屋」が付くお店は超有名店を除き、ほぼ存在しなくなったが、これらの店を潰してきたGMS自体が淘汰されそうになっているのは、カテゴリーキラーの躍進だけではない。
ヨーカドーがセブン・イレブン化しようとして失敗したのだと思う。
春日部店では営業時間を朝9時から夜10時までにしたことがある。今は10時から8時に戻したが、コンビニと違って従業員数が多いGMSにとって、営業時間の延長は人件費が増加するので、経営的には良い方向に向くとは思えない。
食品売り場に関しても、PB商品を充実させることは良いことだが、NB品を減らしてはダメだと思うが、平気でそれをやって来た。
我が家で使っている雪印のバターが、有ったり、無かったりと消えては復活するを繰り返していた。POSデータは売り場に無いもののデータは取れないのだから、ABC分析で商品カットをしたとは思えない。
家内はそのバターを買うために、チャリでヤオコーに行く。行けば必ず在庫は有るので、メーカー欠品では無いようだ。そして、ついでに別の食材を買ってくる。
その分だけ、ヨーカドーの売上は落ちるのである。
想像だが、バイヤーが希望仕入価格にメーカーが応じないので、意地悪をしているとしか思えない。即ち、バイヤーの奢りが商品を入れたり、無くしたりをしていたのだと思う。
多くのバイヤーが安く仕入れる事を第一義にしていて、顧客の要望を二の次にしている事が多い。
もしかすると、バイヤー個人の問題では無く、上層部の人間が顧客の方に目を向けていなかったのかもしれない。もっと、売り場担当の意見を吸い上げるようにしていれば、春日部店の閉店も無かったかもしれない。
ヨーカドーにとっては、セブンイレブンの成功体験が悪い方に出ているのではないだろうか。
そして、セブンイレブンも伸びしろが無くなってきた。
その理由は、FC店がロスを恐れることで、弁当やスイーツの仕入を抑えているからだと思う。
覇者であるセブンイレブンが真っ先に弁当の値引で食品ロスを減らすことと、FCの負担を減らすシステムを構築すべきところが、弁当値引は最後になった事。
これを観ても、セブンイレブンの先は思い遣られる。
GMSはオペレーションコストが高いが、食品専門スーパーやドラッグストアーはオペレーションコストが低いので、食品を安く売れる。大型ドラッグの台頭もGMSを衰退させる原因になっている。
しかし、1番の原因は日本人の可処分所得の減少と物価高 である。
面白いことに、物価は上がっているのに消費支出は減っているのだ。仮に100円だったものが120円になったとしたら、同じ数だけ売れれば、消費支出は2割 上がるはずなのだが、消費支出が下がるということは、その品を諦めて買わなくなったのか、価格が安いPB品に流れたのかのどちらかであろう。
祝祭日が増えて、働き方改革で残業は減ったが、所得は下がってしまった。
少しぐらい給料が上がっても、それ以上に社会保険料や所得税が増 えれば可処分所得は減少する。だから消費を抑 えるのである。
今、買わないのではなく、買えないのだ。
他の国なら、デモや暴動が起きていてもおかしくないが、日本人はひたすら耐える。昔から農民は 年貢の立取りてに苦しめられてきたが、今でもそれは変わらない。
悪代官を懲らしめるヒーローは出てこないものだろうか。