映画「Winny」
Amazonプライムで2023年公開の「Winny」を観た。
Winnyがファイル交換ソフトであることは知っていたが、この映画を観てWinnyがPeer to Peerのソフトである事を知った。
Peer to Peerの技術を使われているのは、身近な処では「LINE」や「プレステの対戦ゲーム」、「ZOOM」があり、身近ではないが「ビットコイン」もそうだ。
壇俊光 弁護士(三浦貴大)が「包丁で人を殺せば殺人罪だが、その包丁を作った職人は殺人幇助に問われるのか?」と言う言葉にインパクトは有った。
武器として作られた物は殺人が目的だが、道具として作られた包丁やノミやハンマーや電ノコは、時として殺人の道具になるが、それは本来の使い方では無いのだ。
東出昌大が演じる開発者・金子勇は発達障害なのかと感じさせるものが有るが、何かに秀でた者は、他の事に興味を持たないのは常で有るから、発達障害であるかは不明だ。
仮に発達障害であっても、それも個性の一つであるから問題ではない。
中学3年の時、私は科学部の部長をしていた。
同級生のNも科学部に在籍していたのだが、或る時に「カエル班を作りたい」と言い出した。
「そんな班に人は集まるのか」と問うと「俺一人でも良い」と言う。
奴の家に遊びに行った時、玄関口に現れた奴はカエルを手の平に乗せていた。
「カエルって腹を上にすると暴れなくなるんだ」
Nは本気でカエルの研究をしたいのだと確信した。
それから、部の担当教員の許可を取って、科学部部室の裏庭にビニール製の「カエル池」を作った。
卒業するまでにNからの報告は無かったが、何らかの研究をしていたようだ。
今から思うと、人付き合いに苦手なNも発達障害だったのかもしれないし、私にも同じような側面があるから、私も発達障害なのかもしれない。
55年前の中学時代の科学部は、そんな輩の集まりだったが、誰もが他人の個性を受け入れていた科学者の卵だったように思える。
話は戻るが、Winny開発者の金子氏は映画の中でボクシングの対戦ゲームを見せながら、「AIで重力計算している」と言うのだ。
この時代にAIの概念が有ったのかは不明だし、映画の脚色かもしれないが、Winny裁判で無罪を勝ち取る7年間、彼のソフト開発は妨げられた。
無罪判決からソフト開発が出来たのは半年間であり、11年前の7月6日に急性心筋梗塞でこの世を去ったのは43歳の時だった。
映画の中で「他のプログラマーが3年掛かるプログラムを彼は2週間で完成させる天才プログラマー」と言うフレーズがあった。
Winnyが開発されたのは2002年。裁判がなければ、日本のソフトウエア技術は大きく飛躍していたかもしれないと思うと残念でならない。
現在、Amazonプライム会員だと無料で観られます。