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免疫専門のクスリ屋


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よもやま話

シトクロームP450ファミリー

私はお酒は嫌いでは無いが、直ぐに顔が赤くなり眠たくなる。

そして、多くは飲めないのだが、これは生まれつき少なくとも9種類あるアルコール脱水素酵素の何れかが

少ないのだと思う。

だから、飲み続けていけば慣れることは無い。

薬剤も多くは肝臓で分解され、尿中や便中に排泄される。

肝臓でグルクロン酸抱合されて排泄もあるが、それ以外に肝代謝酵素で分解される薬剤も多い。

当然の事ながら、肝代謝酵素の量も遺伝的に決まっていて、お酒と同様に慣れることは無い。

顧客の女性は1回2錠使用する鎮痛剤を規定量で飲むと寝続けてしまうので、1錠しか飲まないと言った。

しかも、1錠で十分に鎮痛効果があるそうだ。

彼女の肝臓ではCYP3A4、CYP2CAの産生量が少ないようだ。

その証拠に病院で出された薬でも上記の代謝酵素で排泄される薬剤は過量投与の副作用が現れるのだ。

担当医に言っても理解されないので、新規に出された投薬品に関しては「飲んで平気か?」と問い合わせがある。

法的に言えば、処方せんを出した医師か調剤した薬剤師以外は投薬に関してのアドバイスは出来ないのだが、

その両者が彼女の体質を理解していないのだから仕方ないと思う。

普通の薬剤なら副作用が出てから止めると云う選択しもあるが、抗がん剤となると話は厄介だ。

再発乳癌の患者さんでCYP3A4が少ないと思われる方がいる。

咳止めとして出されているリン酸コデインで眠ってしまうと云うのだ。

リン酸コデインはCYP3A4の代謝だから当然の如く過量投与気味の副作用が出るのだ。

過去に効果が無かった抗がん剤も、現在進行している抗癌剤もCYP3A4の代謝なのだ。

点滴の薬剤だから2錠のところを1錠で・・とは出来ない。

担当医にCYPの事を云っても対応してはくれない。

昔は血液検査でCYPの遺伝子多形を調べることが可能だったが、BMLのホームページでは2017年で受託中止になっている。

検査でEvidenceが出せないことには理解不能は当然なのだが、当人にとっては、これは悲劇だ。

薬剤の減量をお願いしても、せいぜい20%か30%減が限界で、「これ以上減らすならやらない方がマシだ」と必ず云われてしまうのだ。

多くは無いが、遺伝的にCYPが少ない人も居ると云う考えを医師は理解して欲しいと思う。

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