自動販売機
若かりし頃、某製薬企業の営業をしていた頃、汗かきの私は直ぐに口渇が起きる。
そんな時に自動販売機はありがたい存在だった。しかし、その当時は水や麦茶、お茶飲料は無く糖分の入った飲料は更に喉を渇かす悪循環だった。
今はミネラル水、お茶、麦茶、無糖のコーヒーや紅茶と喉を潤す飲料がたくさん有る。昔とは様変わりしたと痛感する。
消費税が8%になってから税込10円刻みの自販機の売れ行きが悪くなっている。メーカーも落ち込みに気づき量を減らして売価調整した品を出してきたが遅きに逸した感が有る。
その間に、コンビニ珈琲が100円で売り出され更に落ち込むようになった。
実は飲料の自動販売機は人々の動向をマーケティングするには面白い機械だと思う。
人の嗜好は気温や湿度、そして疲労度によって変化する。
甘めの飲料が売れるときは「だいぶお疲れなんだな~」と分かるし、水やスポーツ飲料が売れるときは「熱中症を意識する暑さだな~」
最近の傾向は「無糖」のようだ。
午後の紅茶無糖やブラックコーヒーが伸びてきた。
炭水化物ダイエットの影響かもしれない。
誤魔化しが利かないブラックコーヒーは豆や製法で味がガラッと変わるので、売れ行きに変化が激しい。
リニューアルが良くなるとは限らない、味が落ちれば抜群の売れ筋品が死に筋に急落するのを見てきた。
何処のメーカーとは言わないが特徴的な樽型の無糖コーヒーはリニューアルした途端にヘビーユーザーからそっぽを向かれた。
当店の飲料自販機3台は全て、商品選択から売価まで自由に決めさせて貰っている。
動きが極端に悪い品や商品入替の時期になると処分価格にしてしまう。
酷いときは通常130円売価のものが50円にしたこともある。当然原価割れだが、イベントの一環だから赤字は気にならない。
どこかのスーパーみたいにメーカーに補填させることもない。
しかし、商品セレクトは売れ行きだけでは無い。
女房の意見で公園に来るお母さんが子供に飲ませるのはオレンジジュースやリンゴジュースの小ペットが良いと言うので売れ行きが悪くてもカットは出来ない。
いつぞや自販機の傍に居たとき、小さな子供が父親ときて「お父さん、ここの自販機安いって有名なんだよね」
そうか、そうか、そんな事で有名になってしまったかと思わず苦笑い。
フェミニストである私は、特に女性が好むものは安くしてしまう。
午後の紅茶などは女性客が買う商材だから原価率無視も甚だしいが、なんと100円!
野郎からふんだくって女性に還元、まさに税の仕組みそのものだ(笑)
そのせいか、メーカー管理の自販機と違って路面設置の自販機としてはパーマシンはずば抜けた数字にはなっている。
自分で管理するのは骨の折れる仕事だが、昔、自販機でほっと生き返る思いをした記憶が続けさせる原動力かもしれない。