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骨粗鬆症の薬

骨骨粗鬆症は女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少を機に増えてくる。
60台の女性で約3割、70台の女性では約45%が骨粗鬆症だと云われている。

骨密度が低いと云われ骨粗鬆症の予防薬を飲んでおられる方も多いと思う。
私の母親もこの手の薬を出されていたが飲むのを止めさせた。
一応薬のプロであるから「薬は良くない、害がある」と云う素人考えは持っていない。

骨には多くの組織のように代謝機能を持ち合わせている。
その原理は「古いものを壊してから新たに作る」という単純な原理である。
増やしてばかりであれば骨が太くなると単純には行かない。部分的な増殖が起きれば骨の形が変わってしまい骨全体の歪みや痛みをだしてしまうだろうが実際にはそんな事は起き得ない。
骨には骨を壊す細胞と作る細胞の2つがあり、壊してから作るが原則なのだが、壊す方のスピードが速く作る方が遅いので骨密度が減少するのだ。

骨粗鬆症に用いられる薬剤はビスホスホネート製剤と云う。最新のものは第三世代で内服剤と注射剤がある。
このビスホスホネートは骨に取り込まれて骨を壊す働きの破骨細胞の活性を抑える働きを持つ。
従って壊すのを抑えるだけで新たな骨細胞が増えるわけでは無い。
骨に取り込まれたビスホスホネート製剤は減ることが少なく長期服用で溜まり続けるが、壊さないと作らないと云う大原則があるのだから新たな骨細胞が増えず本来は壊すべき老朽化した骨細胞だらけになり骨折を来す可能性が高くなる。

可能性が高くなると云う曖昧な表現は「誰にでも起きることでは無い」からだ。
内服のビスホスホネート製剤はゾメタの様な注射剤に比べて効果は弱い。おそらく破骨細胞の全てを抑えるだけの働きは無いだろう。
骨を増やすのは筋肉である。
筋肉を使ったり鍛えたりしている方が骨粗鬆症の薬を飲んでいると骨密度は上昇するが、運動も歩行も少ない人だと骨密度は増えない。
逆に云えば運動もしない人が骨粗鬆症の薬を飲んでいれば骨折を増やす可能性は高くなると云うことだ。

◎ 歩くのもままならない方は骨粗鬆症の薬を中止すべきだと思う。
◎ 現在骨粗鬆症の薬を飲んでいて十分な運動をされている方は服用を継続すべきだ。
◎ 現在服用しているが運動をしない方は運動する生活改善で良くなる可能性がある。

飲んでるだけで骨が増えるなんて都合の良い薬は存在しないのだから、薬に過信せず、健康は自らが維持するというのが一番だと思う。

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