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よもやま話

老衰

入院母親が腎盂腎炎で20日間入院して、老人ホームに戻った途端に食事が殆ど摂れないと再入院となった。

経口で食事が摂れない状態は老衰と考えても良い。
しかも、主治医との面談で前回の入院の詳細を説明され、自力で排尿も出来ない為にバルーンを入れていると云う。

先月までペースト状の食事を食べさせて貰っていたし、私たちが行った時はプリンやレアチーズケーキは食べることが出来ただけに・・
いきなり「老衰」とは少し信じがたい気もする。

腎盂腎炎の治療で誤嚥性肺炎の可能性も考えて1週間は3号輸液だけだったから、低栄養になったのか?
その後はゼリー食をほぼ完食していて嚥下に問題は無いと退院になったのだから、余計に腑に落ちない。

入院時のバイタルは血圧:135/83 P:89 体温36.2度 SPO2:98
こっそり聴診をしたら肺雑音は無く誤嚥性肺炎の危険性は少ない。心音は不整脈も無いが以前より脈も弱い。

さて、どうやって栄養を摂らせるか。
1,胃管を鼻から入れて流動食を流し込む。
2.胃瘻を増設する。(今は内視鏡で簡単に作れるし、取ることも出来る)
3,IVH(中心静脈栄養法(intravenous hyperalimentation)
4,総合アミノ酸輸液を使う。
5,普通の3号輸液だけにする。

胃管は入れるのは難しくは無いが、本人にとっては苦痛だろう。
それと、唾液が肺に入って誤嚥性肺炎の危険性は増す。

胃瘻はIVHよりも長く生きられ一番の延命処置。

IVHは長期になると感染の心配が出てくることと、心臓や腎臓が弱っていると負担になる。

電化質とブドウ糖だけの輸液だと普通は1~3ヶ月しか持たない。

本当に老衰だと小腸機能が低下しているから胃管も胃瘻も無駄かもしれない。
そうなると、4の総合アミノ酸輸液かと思って主治医に話したら「ここでは扱っていないんです」。
「普通は1番から順番に考えて行きますが、ご家族のご要望が有れば順番は構いませんよ」と言ってくれた。

それでIVHを選択した。
「食事もゼリー食なら食べられるかもしれませんから、IVHと併用して正月休み明けまで遣ってみましょう。それから次はどうするかを相談しましょう。」と話は纏まった。

IVHで元気になれば一過性の低栄養状態だったと考えられるが、変化無しだったら老衰だと思うしか無い。

老衰だとしたら病気では無いから治療法は無い。
全身の機能が低下しているのだから、輸液も制限しないと浮腫で苦しむことになる。
無駄に苦痛を与えずに安らかに死を迎えられるようにしてやることしか出来ない。

自分の母親だが、なぜか冷静に考えられるのが不思議だ。

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