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癌の情報

前立腺癌

前立腺いつだっか前立腺癌の話をしているときに家内が「私は大丈夫かな?」ととぼけたことを言う。
幸か不幸か女性には前立腺は存在しない。従って女性の前立腺癌は無い・・・はずだ。
無いと云いきれないのは世の中には一般的では無い方も居られるので「絶対」は医学では存在しないからだ。
発生学的に考えると男性は女性をベースにして作られている。前立腺に相同するのは女性ではスキーン腺に当たるが、それが前立腺に進化してしまう女性もいるかもしれない。
非常に珍しいが男性器と女性器を併せ持つ人もいることだから、「絶対」はあり得ない。

話が逸れてしまったが、今回の話題は前立腺癌をどう考えるかだ。
前立腺に異常を認めずに他の病気や事故で亡くなった方を解剖すると前立腺癌が見つかることが有る。これをラテント癌と言う。
症状も無く本人も癌だとは知らずにいて、別の要因で亡くなったわけだ。

前立腺癌は食事の影響もあるようだが人種のより罹患率が事なり、米国の黒人では77%と高頻度に見られるが日本人では流石にそこまでは高くなく1桁の%だが食事の欧米化で増えてきている。ハワイ在住の日本人では罹患頻度は高くなるので食事の影響は否定できないだろう。
ラテント癌は20代男性からも見つかるが、60歳で50%、80歳では60%以上に見つかるようだ。
年齢が高くなれば高頻度にラテント癌が人間ドックや検査でPSA高値から見つかることも多くなる。
しかし、前立腺癌だと判明した場合にどのように対処するかは難しい問題だ。
他の癌だったら手術出来るならした方が良いと私は思うが、前立腺癌の場合はこれが否定的になる。
前立腺癌の遠隔転移で一番多いのは骨転移だが膀胱への浸潤も多く見られる。遠隔転移があれば手術は基本的には不能とされるが膀胱への浸潤だと膀胱も摘出し、尿は外の袋に排出するようになってしまう。所謂人工膀胱だ。
ところが、そこまでの病期でない方の場合も手術が第一選択なのか?
ラテント癌でも浸潤癌もあれば非浸潤癌もあり、悪性度も変わることもあり経過観察で良いとは全てには言えない。
おそらく経過観察でも前立腺癌で亡くなる可能性は6発装填できる拳銃に1発だけ入れてロシアンルーレットを6人でする程度かもしれない。
5人は空砲で前立腺癌以外の原因(老衰かもしれないし事故かもしれないし、他の癌かもしれない)で亡くなり、一人が死亡診断書に前立腺癌と書かれる。
だが、さすがに医療者としてはロシアンルーレットを薦めることは出来ない。

手術に関しては開腹手術と腹腔鏡手術、ロボット手術、放射線が出る金属カプセルの埋め込み手術と選択肢はたくさんあるが、一番のお薦めはロボット手術だ。
ダヴィンチというロボットでの腹腔鏡手術は高度先進医療が通り保険適応される病院も増えてきた。
4倍に拡大された3Dモニターでロボットアームを動かして手術するのだが、これは出血量も少なく神経損傷も少ないと言われている。
しかし、どんな手術方法を選択しても手術の後遺症はゼロではない。リスクは常に付き纏うものだ。
一番は排尿障害。殆どが尿漏れだ。次に勃起障害。

以前に常連客から相談が有った。
ご主人が検査でPSAが高値だった。数値は忘れたが基準値の4を遙かに超えて20よりは下だったように記憶している。
PSAが4以下でも前立腺癌が見つかることもあるし、10でも癌で無い場合もある。前立腺肥大でも10程度になる方も居られるが、流石に20近くだと癌を否定する材料は乏しい。
この方にBRMstageを飲んで貰った。最初は4週分お持ちになったが、次に12週分お持ちになった。
その後お見えにならないので心配していたら、ひょっこり現れ「PSAが下がったから問題ないと言われた」
PSAが6から4に下がったとか云うレベルでは無く、異常高値から下がったとしてもまだ高いはずだ。
だが、医者の言葉は絶対的な信用がある。私がどんなに説得しても無駄だと思い何も云わなかった。

それから数ヶ月の後(半年ぐらいだったか)当のご主人が来店された。
PSAが再び高くなったので手術を薦められ手術したが尿漏れが酷いそうだ。付け加えて勃起障害も出ていた。
本人の言葉では「もう歳だからと云っても60代半ばで立たないのは辛い。しないんじゃなくて出来ないって事が腹立たしい。男としての自信が無くなる。」
まあ、例えて言えば「歳だから自動車の運転は控えているがいざという時には出来ますよと歳だから運転できなくなった」の違いだろう。
男としては同情する限りだ。

前立腺はホルモンの依存性が高い。
しかしホルモン療法は半年、どんなに長くても1年半で効果が無くなり悪化する。
今までに数名、BRMstageとホルモン療法をして戴いた方はホルモン剤が効かなくなるどころか、そのまま経過観察で手術はしていない。
出来ればホルモン療法が効かなくなる1年半を超えて、2年は使用して戴きたい。
ホルモン療法の副作用で性欲減退もあり得るが、先の方の言葉を借りれば「出来ないんじゃ無く、しないだけだ」ってところかな。

私は若い頃から前立腺の肥大では無く石灰化があるので尿が出にくい。
特に仙腸関節に歪みが起きると悪くなる。
本当に出が悪いときは前立腺を取ったら楽になると思うが出が良い時はやはり取らない事に越したことはないと気持ちが変わる。
前立腺とはほんとうに厄介なものだ。

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