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癌の情報

余命宣告

墓石「先生、余命はどのくらいでしょうか」
患者本人が聞くことは少ないが、家族が聞くことが多いのが「余命宣告」
家族が聞きたいと思っていなくとも告げられることもある。

しかし、これが当たるかというとなんとも言えない。

さすがに死相が現れるとお迎えも近いとは思うが、癌の場合では少なくとも半年や1年先のことは分からないのが現実だ。
それでは医師はどのように余命を考えているのか疑問だろう。
一般的に癌の種類と悪性度や進行度で統計的な判断で考えるのが普通だと思う。
それと、言う立場から考えれば予定より長く生きられれば「先生のおかげで延命出来ました」と言われるが、予定より短いと「なんで・・?」と思われるのが嫌だから、どうしても短い設定をしがちになる。

或る癌患者さんが医師から「余命半年程度、もしかするともっと短いかもしれない」と言われた。
CTを見るかぎりでは癌の種類と進行具合からどうみても3ヶ月がやっとだと思った。
こういう場合にはさすがに直球返しは出来ない。
「そうですね、半年は無理かもしれませんね」がやっとのところだ。
医者じゃ無いから余命については語れないし、不安を煽ってはいけないと思う。

聞いた話だが、とある病院の外科医は聞かれなくても余命宣告をするそうだ。
しかも、男性の場合はほぼ100%それが当たるが、女性ではハズレるとか。
その医師から余命2ヶ月と宣告された再発癌の方と間接的にかかわることになった。
多発肝転移の状況から余命2ヶ月は妥当な判断だと思った。
しかし、2年経っても元気なので「どうして、あんたは死なないんだ」と言われたそうだ。

もし、私が当の患者だったら「俺がいつ死ぬかなんてあんたが決めるものじゃないよ」と喧嘩になっていたと思う。
抗癌剤は癌を治せなくとも延命には繋がると信じている医者が「もう無駄だから抗癌剤は止めよう」と言ってから延命出来てしまうことは医療の常識からは大いに外れることだとは思う。
しかし、現実は医療的に無治療なのに2年も元気で居ることもあるのだ。

多発肝転移もほぼほぼ小さくなっていたのだが、主治医は完治させるために抗癌剤を再開することを提案する。
余命2ヶ月の宣言をされた者に「完治」の言葉は魅力的に感じることばだったのだろう。
私は悪化してきてから抗癌剤治療の再開を知った。
「どうして・・・?」と思う反面に患者の希望や期待は医師が握っていることをまざまざと悟らされた。

余命2ヶ月が2年2ヶ月には伸びたものの、完治できると信じていただけにショックは大きかった。
私は近藤誠氏のように抗癌剤反対論者では無い。
危険だからと言って包丁もハサミも使わなければ出来ることは限られる。
自動車や飛行機が怖いと言って徒歩だけなら移動範囲は狭くなる。
リスクを回避しながら、あとは運任せが人に出来る限界だろう。

怖いから薬は使わないも駄目だが、怖さも知らずに使うのも駄目。
全てはバランスなんだと思う。

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