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医療ドラマ:Doctor-X

手術風景Doctor-Xのシーズン4が始まった。若年層のテレビ離れの影響もあってドラマの視聴率は1桁止まりの中で、平均20%を叩き出す人気番組のようだ。
私も医療系の番組は大好きだが、アメリカのTVドラマでもER 緊急救命室が視聴者数で第1位だそうで、日米とも医療系のドラマは高視聴率のようだ。

だが、あくまでドラマの世界であるから医療監修者がいても間違った内容が放映されるのは致し方ないと思うが、それで誤解されてしまうのも恐ろしい。

Doctor-Xの第二話で山本学扮する貧乏村長の抗癌剤代金が150万円と聞いてでビックリ。
それを真に受けてしまい「抗癌剤は高いから・・」と思い込まれても困る。
村長だとすると国民健康保険だろう。国保では高額医療費で70歳未満の場合は所得に応じて月に24,600円から最大80,100円に1%分の医療費を加算した自己負担分で済み、差額は返還される。
75歳以上の後期高齢者でも上限は同じになっている。これは1回の治療費では無く1ヶ月の合計金額なので詳しくは市町村の国民健康保険課に問合せされると良いだろう。
事前に入院する病院や手術の内容が分かっているなら「限度額請求」をしておけば差額返還では無く窓口での支払が自己負担分だけで済むはずだ。
保険適応外の差額ベッド代やレンタルのパジャマ代などには高額医療は適応されないのでご注意戴きたい。
ドラマでは4人部屋のように見えたが、病院によっては4人部屋でも一人あたりの広さが大きいと差額ベッド代を取られる。

そして、大門未知子が大好きな手術だが、退院を早める設定だから腹腔鏡もやむを得ないと思うが、横行結腸癌の手術は基本的に開腹術の方が安全だ。
腹腔鏡では確認できない肝転移や腹膜播種があるからだ。
事前にCTを撮っていても開腹して「あらら・・」が多くは無いがあるのだ。
赤尾先生に質問したが、今までに数例が開腹してみたらCTに写っていない転移があってそのままインオペになったと云う。
今回のドラマでの設定では横行結腸癌で腸閉塞の可能性が高いとされているので、この場合では転移があっても横行結腸癌の手術は行われる。
それと、大動脈傍リンパ節の確認ができていないので「私、失敗しないので・・」とは言い切れない(笑)

もう一つ、愛人と箱根の温泉に行っていた国会議員さんの大腸癌・肝転移。
大腸癌で肝転移が起きるのは殆どが直腸の下部に腫瘍が有ったときで、それ以外は肺転移となる場合が多い。
そうなると人工肛門造設術が必要になろう。
術前CTで肝臓右葉S5、S8とS4にかけて2つの腫瘍が見えた。
これは肝区域切除の対象にはならない。普通は肝右葉切除だろう。

そんなに細かいとこを気にしてたら楽しくないだろう・・と思われるかもしれないが、私はドラマはドラマだと割り切って見ているので実は楽しい。
たぶん居ないとは思うが、一般の方が「あんなドクターが居ないものか」とか「ドラマではこうなのに」と医師への不信感をもたれることが一番怖いと思う。

インターネットでも間違えた情報も多い。
ましてやTVドラマでは尚更だ。
「東スポ」のように社名と日付以外は正しいものは無いと割り切れるぐらいが一番だ(笑)

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