余命の判断
末期癌の場合は大凡の余命はCT、採血、臨床症状で分かるものだ。
医師で無くても上記の項目の判断が出来れば素人でも分かるはずだが、その様な経験や知識を持つ一般人は少ないとは思う。
先月の後半にセカンドオピニオンの依頼の為に見たCTと採血で「余命3ヶ月」と判断した。
依頼先の赤尾先生も同意見だった。
しかし、人の余命なんて分かるはずも無いのが現実だ。
「不測の事態が起こらなければ」が「余命3ヶ月」の前に付く前提条件であることは紛れもない。
「不測の事態」とは肺炎などの感染症やDIC(播種性血管内凝固症候群、血栓症、静脈瘤破裂などがそうだ。
特に肝転移を有する患者の場合は門脈系に転移が有ると胃や食道静脈瘤が出来て、それが破裂すると致死的な状況となる。
かつて、そう20年前の膵臓癌・肝転移の弟がまさにそうだった。
なぜか、その日は朝のうちに病室を訪れたのだったが、「今日は調子が良い」と話をしていた矢先に静脈瘤破裂が起きた。そして10分で絶命した。
ゆっくり漏れて処置が間に合う人も居れば、無処置で24時間ぐらい持つ方も居られるが、私が知り得るものでは、短時間で亡くなった方が多かった。
先の余命3ヶ月の方だが、セカンドオピニオンを受ける前に突然に亡くなったことが後日分かった。
それも、相談を受けた5日後だった。
CTでは門脈右脚に腫瘍が有ったが、食道静脈瘤は見えなかった。
DICに関してはDダイマーやFDPの採血項目は無かったが血小板の著しい減少は有るので、可能性は否定できない。
いったい何が有ったかは知らされていないが、何かの不測の事態が起きたのだろう。
そして、剖検以外には分からないが、おそらく膀胱癌の再発転移は医師の判断の間違えだと思うのだ。
あれは、放射線の晩期障害で起き得る粘液線維肉腫だと思う。
だが、患者が全ての治療を拒否したのだから診断名が正しくても間違っていても問題は無い。
大げさな言い方だが、進行癌や末期癌の患者の1ヶ月は、健常人の6ヶ月の相当する。
じっくりと時間を掛けて判断していると1ヶ月で半年分の寿命が縮まると思って欲しい。