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癌の情報

誤診

最近、癌の見落としで謝罪している大学病院や基幹病院が後を絶たない。
その多くは読影医が指摘していたのを担当医が見逃していたものだ。

今回は読影医や担当医の見落としではなく、誤診されていたケースの報告である。
患者は59歳男性。14年前に膀胱癌となり膀胱温存で粘膜を削る手術と放射線治療、化学療法で完治していた。詳しい内容は分からないが、本人の話では膀胱摘出しても、温存しても余命1年と言われたそうだ。それ以来ずっとBRMstageを使用して頂いてはいたが使用量は基準量だったり少なかったりとまちまちだったが膀胱癌の再発は無かった。だが、治療の失敗で左腎からの尿管口がほぼ閉塞してしまい水腎症となっていた。

或る時にお腹を見て欲しいと言うので拝見した。
なんと下降結腸が腹部前面に触れるのである。
本来下降結腸は背側の臓器であるから腹の前面に出てくることは無い。直ぐにCTを撮るように話したがなかなか実行してくれなかった。
暫くしてCTを撮ってみたら水腎症が大きくなり下降結腸の下に入り込んでいたのが分かった。

そのCTで私は見落としをしていた。
「腸骨に骨転移が有る」とがんセンターの担当医は指摘したのである。
その部位を再度確認したが骨転移には思えないが何か有るのは分かった。
がんセンターでもCTやMRIで読影医も骨転移と指摘していたが、膀胱癌の再発が14年も経って起きるとは考えにくく納得出来なかった。

その後、前立腺肥大の尿閉で尿道カーテーテルを入れていたが、それが詰まり腎不全となったが一命を取り止めた。

1年ぶりに腰が痛いから見て欲しいと言われたときには臀部に巨大な腫瘤があった。
埼玉医大や別の医療機関でも膀胱癌の骨転移と診断されたが、それはあり得ないとずっと思っていた。どうして手術しないのかと問うと「整形外科医に手術したら歩けなくなるかもしれない」と言われたからだと答える。
それから腫瘤は大きくなり続け肺と肝臓と骨に飛んだ。

生検も剖検もしていないので正しい診断は付かないが、私は放射線誘発軟部肉腫だったのではないかと思っている。
放射線誘発軟部肉腫は肉腫全体の3%程度にしか過ぎなく、肉腫自体が多くは無いことから確定診断は生検以外に無い。

どんな治療にもリスクは付きものだが、こんな希な例もあるのだ。

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