腫瘍マーカー
癌患者にとって一番気になるのが「腫瘍マーカー」
数値が1上がって嘆き、1下がって喜ぶ。
だが、僅かな変化で一喜一憂する必要は無いと思う。
基本的な判断は前回よりも何割増しになったとか、前回の何倍になったとか対数で見るべきものだし、検査誤差は10%は有ると思って良い代物だから、1割の上下は無視してよろしい。
昔のことだが、膵臓癌のIV期の患者さんは黄疸で癌が見つかった。
膵管外腫瘍が胆管を圧迫する為に黄疸となった。
手術不能で胆管にステントを入れただけで処置は終わった。
しかし、癌が無くなった時にステントが動くことで腫瘍マーカー:CA19-9が突如高値になった。
赤尾先生は慌てずに「CA19-9はステントが動いて胆管を刺激すると上がっちゃうから」と一言だけ。
さすが、伊達に教授やって無かった名医だ。
その後CA19-9は乱高下するようになったが、癌が急に大きくなったり、小さくなったりする訳は無いから気にしなくて良くなった。
「あっ悪化しちゃったね」と腫瘍マーカーだけで判断した医師が居た。
患者は胆管炎以来PTCDチューブが刺さったままだ。
他の採血項目は全て改善されていて、ALPやγ-GTPもビリルビンも基準値内で下がっている。
腫瘍マーカーは判断材料の一つだが、全てでは無い。
これに一喜一憂する意味は無い。