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癌の情報

渡瀬恒彦 胆嚢癌

俳優の渡瀬恒彦さんが胆嚢癌で死去されたというニュースが報道されました。

一昨日から改訂第2版の胆道癌診療ガイドラインにくまなく目を通していただけに驚きました。

胆嚢癌は欧米人では少なく日本を始めとする東南アジア諸国に多いとされていますが、本邦でも症例数はけっして多い疾患ではなく、使える抗癌剤が少ないのです。

保険適応になっているのは、ゲムシタビン(ジェムザール)、シスプラチン、TS-1、アドリアシンだけなのです。

アドリアシンの誘導体であるエピルビシンは適応になっておらず、シスプラチンより腎毒性が少ないオキサリプラチンやカルボプラチンも適応外です。

ガイドラインによれば、胆道癌は膵臓癌に似た性質なのでゲムシタビンが効くのではないかと使ってみたら良かったので、ファーストラインの治療はゲムシタビンにシスプラチンを併せたGC療法となることが多いようです。

ただ、GC療法は外来で出来る治療ですが、4時間くらいは掛かるので患者さんの負担は大きいかもしれません。

一方、ゲムシタビンと内服のTS-1との併用であるGS療法はゲムシタビンを急速に入れた方が良いので30分もあれば点滴は終わりで、後は日に2回TS-1を飲み続けるだけです。

GC療法もGS療法も週に1回点滴をし、それを2回続けたら第3週目は休みの2投1休で行います。

GCとGSのどちらが良いかの比較試験は結論が出ていませんが、〇〇癌と云っても性質が異なるものが多く、個人差みたいなものが凄く大きいのです。

まして、数少ない胆嚢癌は胆管癌や十二指腸乳頭部腫瘍と併せて「胆道癌」と一括りにされて治験を行っています。

それだけに効果を証明する治験がなかなか行われないので、新薬の出現は厳しいのです。

もしかすれば、PD-1阻害剤やPDL-1阻害剤も効くのかもしれませんが、確定診断が下された時には余命が短い方が多く、治験を行う患者数が集まらない為に治験が出来ないという悪循環に陥って
いるのです。

渡瀬さんの胆嚢癌がどんな状態であったかは明らかにされていませんが、手術出来なかったのは肝臓への浸潤や転移が大きすぎたか、あるいは他の臓器や傍大動脈リンパ節に転移が有ったからだとは推測されます。

その状態で放射線化学療法をして1年半くらい生きられたのは良い治療だったと思います。

渡瀬さんの1年ほど前に胆嚢癌と診断された親戚は再発しているものの、元気で仕事を続けています。

そして、採血結果を見る限りは肝機能も腎機能も悪くなく、食欲もありすぎて困っています。

本人はテニスをしたいようですが、PTCDチューブが外れてしまうのでお腹をよじる運動は禁止しているのですが、それが一番辛いことなのかもしれません。

今朝の渡瀬恒彦さん死亡のニュースを聞いて、何か動揺が有るかと思い電話したところ全く気にしていないとのことでした。

「本人は治る気でいる」と奥さんが言います。

「いいんじゃない、患者さんが諦めたら終わりだから・・・」

癌治療の奇蹟は誰にでも訪れるものだと思う。

でも、本当に奇跡的に治るには免疫が正常に働くように仕向けることだと思うんです。

ずっと気になっていた「単球」のパーセンテージが高いのは非アルコール性脂肪肝炎ではないかと三七人参を追加して、BRMstageの処方も変更した。

1週で変化してきたから、これで準備は整った。

今週から変更したGC療法も副作用無く過ごせている。

たぶん、これで良くなる・・・そんな気がする。

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