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癌の情報

樹木希林 全身癌

女優の樹木希林さんが突然に亡くなったニュースには驚かされた。

以前より「私は全身癌」と公表されていたが、「全身癌」なんて言葉は存在しないのだ。

乳癌からの骨転移が全身の骨に飛んでいたのだろうとは思っていた。

「骨転移」から他の臓器に飛ぶことは無いと云われている。何故なら骨には微小な血管があるがリンパ節は存在しない。

その為に血行性転移が微小血管で止まってしまったのが骨転移だからであり、そこから飛ぶことが出来ないからなのだ。

大腿骨骨折の手術後に危篤となったそうだが、骨転移骨折だとすると手術はかなり難易度が高い。

母が84歳の時に大腿頚部にヒビが入って(不全骨折)手術したが、単純骨折でも同じ手術だろうが、手術時間はさほど長くは無かった。

しかし、骨転移骨折は粉粉に砕けてしまうことが多く手術の難易度は高くなるのだ。

長時間の手術で血栓が起きることは稀では無い。

その血栓が心筋梗塞や脳梗塞、肺梗塞を起こすことがあるが、アロマターゼ阻害薬の「フェマーラ」には頻度不明に血栓症や心不全の副作用が添付文書に掲載されている。

薬の副作用が手術で助長された可能性もあるだろう。

多くの再発乳癌の患者様と接してきたが、骨転移だけで亡くなった方は1人も居られなかった。

その多くは肝転位や肺転移が命取りだった。

樹木希林さんが長期に再発をコントロール出来ていたのは骨転移だけだったからだろう。

再発自体はunluckyだが、骨転移だけだったらluckyなのだ。

朝日新聞、天声人語に「美しい人はより美しく、そうで無い人はそれなりに」と書いてあったのを読んで当時のCMを思い出した。

「そうで無い人」の代表として選ばれたのだろうが、今時の女芸人ではいざ知らず、女優である樹木さんの達観した凄さを感じたものだ。

また、惜しい人が天に召されてしまった。

合掌

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