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乳癌治療に新薬登場 IBRANCE(パルボシクリブ)

薬ファイザー社は開発した世界初のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬を日本国内における製造販売承認を申請した。
海外で画期的な新薬と云われているので認可される可能性は極めて高いだろう。

この薬は細胞分裂の周期を調整することで癌細胞が増殖するスピードを鈍化させるもので、他のホルモン治療薬との併用が必須となる。
この新薬の良い点は内服で済み、3週飲んで1週休みの3投1休。Her2には依存しないので対象者は多いだろう。

組合せはフェマーラ+パルボシクリブ、もしくはフェソロデックス(フルベストラント)+パルボシクリブのようだ。

しかし、フルベストラントはAP-2γ(エーピーツーガンマ)という転写因子を持つ人には薬剤耐性が起きやすいと云われている。
乳癌のタイプでも特にHer2が陽性の人や進行癌にAP-2γが多く発現されているから厄介だ。

Her2が発見されたときは「これが強陽性だと予後が悪い」と云われ、それに対する薬剤がどんどん開発されると「Her2が陽性なら使えるんですけど・・」と逆転現象が起きてしまった。
今度はHer2が高いとAP-2γの発現率が高いのでフルベストラントの薬剤耐性が・・・

結局、一人一人、場合によっては進行状況で乳癌の薬剤選択をしなくてはならないって事だ。

赤尾先生がNPOセミナーで「乳癌の手術は外科医なら誰でも出来る。盲腸よりも簡単だからだ。しかし、再発した時には乳腺専門医でないと治療は難しい。」と云っていた言葉が思い出される。

画期的な新薬も効果の出る人と出ない人を振り分けて治療方針を立てるしかないのだろう。
それには知識と経験と勘が必要なのだろう。

ところで、パルボシクリブの薬価が気になる。
海外から取り寄せ出来るサイトでは21カプセルで130万円と書いてあった。
3投1休だから21カプセルで4週分の治療期間・・・高いな。

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