再発癌の化学療法
化学療法(抗癌剤治療)の薬剤も進化して、延命期間を延ばしてはいるが、再発癌やIV期の遠隔転移を持つ患者には完治の希望は少ないものだ。
だからと云って希望を捨て去る必要は無いと思うのだが、希望を無くしているのは医療者側の問題では無いだろうか?
昨日、3名の癌患者の採血結果を見た。
Aさんは胆嚢癌の再発、姑息手術の為に術後も腫瘍マーカーが正常になることも無く、2016年3月に肝転移が確認され余命6ヶ月と判断された。
胆道癌でも特に胆嚢癌の再発肝転移であり、私もCTを確認しているが余命は妥当なものだと思う。
この時の「余命6ヶ月」とは無治療か治療効果が全く無かった場合のことで、治療効果があれば余命は伸びるものだ。
現にAさんは余命宣告されてから3年8ヶ月が経っているが、仕事もしていて極めて健康に見える状態なのだ。
CTでも転移叢の縮小は確認され、マーカーもあと僅かの低下で正常範囲内に入る状態だ。
Aさんの主治医は抗癌剤の量は減量してくれたが、2投1休の変更は認めてくれない。
だが、たまに交渉で休薬期間を長くしてくれる。
昨日の採血は前回のケモから5週目だから2投4休となる。
前回のCA19-9は60だったが、昨日は63.8だった。これを悪化と捉えてはいけない。
検査誤差は10%前後するし腫瘍が死滅しても腫瘍マーカーは上がるからだ。
その前の8月6日にはCA19-9が59.7だったが、翌9月3日には147.9まで上昇したのだが、私は次回の検査では必ずマーカーは下がると予言したのだった。
その根拠はリンパ球の実数が1769であり、悪化した時のリンパ球実数は1593だったからだ。
今回は5週空いたのでリンパ球は2165だった。
これで、来週のケモの前にリンパ球が1700を越えていたら必ずマーカーは下がるはずだ。
出来れば来週はパス出来たら間違えなくマーカーは下がると断言できる。
抗癌剤の日は先ず採血をして、白血球が3000以下だと中止になるのが普通だ。
白血球が3000を越えていても、リンパ球の実数が1700以下だと休止にしてくれる医者がいれば延命期間が長くなり、場合によっては完治する患者も出てくるだろうにと思うのだが。
抗癌剤は使い方次第で良い成果が出せるものだと思うが、BさんはIV期直腸癌で肝転移がある。
原発叢は手術で取ったが、その時点で余命半年と宣告された。
このBさんは抗癌剤はやりたくない派だったが、無理矢理に説得して2回は手術した病院で行ったのだが、たった2回でマーカーは大幅に下がり、画像でも縮小が確認された。
でも、「やりたくない」と理由を探しては延び延びにしてきた。
その結果は画像で転移叢の増大と前回のCTで疑いを持っていたところがしっかりと現れてきた。
このまま放置すれば半年とは言わないが、オリンピックを見ることは無いだろう。
Cさんは胃癌の再発だ。この人も医者の云うままに抗癌剤治療をしている。
常にリンパ球数が1500台だがマーカーは一時的に下がるのだが、再び上昇する。
レジメンを替えたら急激にマーカーは下がっているが、また戻るだろう。
CEAが2、CA19-9が4まで下がったが、個人的にはこの方が一番ヤバイと思っている。
なぜなら、急激に骨髄抑制が起きているからだ。今回の薬剤は効果もあるが、骨髄抑制も凄い。
1投3休にでもしてくれたら直ぐに寛解まで持って行けるはずなのだが、このままだとヤバすぎだ。
3人ともBRMstage Xの使用者だけに抗癌剤が異常なまでに著効しているが、今後にどの道を選べるかで差が出てくるだろう。
肝転移は癌の専門医でも「抗癌剤だけで治らない」と言われるほど難しいものだ。
肝切除できれば5年生存率は50%になる。
しかし、Aさんは左葉が小さく肝炎を起こしていた為に姑息手術となった。
Bさんも左葉が小さく右葉全摘は無理。
CさんのCTは見ていないから何とも言えない。
右葉全摘も患者ってどれくらいの適応が有るんだろうか?謎だ。