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免疫について

インフルエンザ予防ワクチン

注射インフルエンザの到来が通年よりも今年は早くなったと報道があった。さて、皆さんはインフルエンザの予防ワクチンを接種されただろうか。
私のところにも毎年接種した方が良いかと癌患者さんや同業者からの問合せがある。

先ずは間違えなの無い回答から。
「インフルエンザ予防ワクチン」でインフルエンザの感染防止はできない。
これはWHOも認める世界的にコンセンサスが得られたエビデンスのあるものだ。
その理由はいとも簡単で、インフルエンザワクチンはIgG抗体を作らせるが、鼻や喉から侵入するインフルエンザウイルスには粘膜で働くIgA抗体でないと予防出来ないからだ。

そもそも、このワクチンの有効期間は数ヶ月と短く、他のウイルス予防ワクチンと混同してはいけないと思う。
更に重篤化を防ぐ働きがあると云う疫学的な評価論文にも無理がある。
過去にインフルエンザに罹患した経験がある人ほど重篤化が少なく、長く生きて来た人ほど罹患経験が多い可能性があるので不思議と重篤化しない。
1918年~1919年に大流行したスペイン風邪(A型インフルエンザ:H1N1亜型)では全世界で5億人が感染して、死者数が5000万人~1億人と推計されている。
日本でも48万人がこのインフルエンザで亡くなったという。
しかし、余病を持たない高齢者では罹患しても死亡に至る比率は少なかったようだ。
型が少し違っていても、過去にA型H1N1に罹患していれば重篤化しないということだろう。
疫学調査では過去のインフルエンザの詳しい罹患状態まで調べていないので、ワクチンを接種したから重篤化しなかったと言い切れないのだ。
近年では鼻汁から簡単にインフルエンザの感染有無が分かるが「インフルエンザA型陽性です」とA型かB型かの区別だけでウイルスの詳細は明らかにはできない。
※ H:ヘマグルチニン N:ノイラミニダーゼはウイルスのエンベロープのスパイク様突起

抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、ラビアクタ、イナビル)はノイラミニダーゼを阻害することでウイルスが感染細胞から離脱することを防ぐ。
しかし、ノイラミニダーゼも変異するのでH1N1型ではタミフルが耐性を持ってしまい効果が出ない。

新型インフルエンザと呼ばれるものはA型H1N1型だ。
致死性が高い亜型で死なない為には致死性が低いうちにA型H1N1に罹患しておいた方が安全ということだ。

健常な成人の場合はワクチン接種を受けなくても良いと思うが、罹患経験が無い小児の場合は重篤化を防ぐ可能性は有るが、現在日本で使用されているスプリットワクチンは副作用も少ないが効果も乏しいので痛い思いをさせる必要があるのか疑問は残る。
しかし、余病を持つ高齢者の場合はワクチン接種の副作用で亡くなる方がインフルエンザで亡くなる方とほぼ同数になるという問題がある。
心臓、肝臓、腎臓に障害を持つ高齢者はワクチン接種には要注意。

癌患者の場合はケースバイケースだ。
担癌状態では液性免疫が高く細胞性免疫が低下しているから癌が進行しているのだ。
ワクチン接種で液性免疫を高めると癌は悪化することがある。
だが現在の効かないワクチンではそれほど心配する必要は少ないだろう。
担癌状態でも仕事や学業で普通に社会生活を営んでいる方も多くなった。
職場や学校で「君だけがワクチン受けなかったから皆に移った」などと後ろ指を指される可能性が有る方は受けておいた方が良い。

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