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免疫について

ぺアを組むもの、相反するもの

免疫の細胞は基本的にはペアを組まないと働かない仕組みを持っている。樹状細胞とヘルパーT細胞、キラーT細胞の共刺激は正にペアだが、単独で働くNK細胞はペアを組まない。
かつてはヘルパーT細胞に相反する免疫細胞としてサプレッサーT細胞と言われたが、その存在を否定する見解が一般的になった。
サプレッサーT細胞の概念と同じに免疫を抑制する細胞にTReg細胞が登場した。
「登場した」と記すと新たに出てきたように誤解されるかもしれないが、人類誕生の以前から存在していた細胞だ。
ただ、見つからなかっただけの話である。
このTReg細胞は免疫の暴走を止めるためのものだが、それが抗腫瘍免疫を阻害しているのも事実だ。
その働きを阻害する・・・話がやいこしいが反対の反対は「賛成」の原則で開発されたのが免疫チェックポイント阻害剤である。
当然の結末として、免疫の暴走を許す結果となり人によっては膵臓のランゲルハンス島β細胞の攻撃を許し1型糖尿病を発症することとなる。
とてつもなく高額な薬剤だが、全ての人で有効かと言えばそうではない。およそ20~30%の人で有効なようだ。
例えて言えば、犬の鎖を外しても必ず人や他の動物を噛みつくわけでは無いのと同じで、その人が持つ免疫力が低ければ鎖を解いても働かないのだ。

最近ではNK細胞でも非自己を攻撃するものと、それに反してそれを抑制するNK細胞も発見された。
体の仕組み、特に免疫の仕組みは表題の如く、「ペアを組んで初めて働けるようになるものと相反するものの存在」がある。
単球由来の樹状細胞は免疫の働きをプラスにするが、リンパ球由来の樹状細胞はマイナスに働くのも同じ仕組みだ。

人為的に抗腫瘍免疫を持つNK細胞を体外で増やしてから血液に戻すと腫瘍を壊しはじめる。
しかし、仕事を終えて増えすぎたNK細胞は危険だから、それを自滅させる働きもある。
それはNK細胞の武器であるパーフォリンで自らを破壊する方法だそうだ。(パーフォリン依存性のアポトーシス)
普通はFASへの刺激でアポトーシスさせられるが、勇者NK細胞は自爆テロみたいに自決させられるとは驚きだ。

「この天然物抽出物は正常細胞には影響を与えずに癌細胞だけアポトーシスさせるんです」とサプリの売り込みがある。
癌細胞特有のFASリガンドが発見されたなら凄い事実だが、腸管吸収するのも難しい高分子でありながら、それが可能だと言うことは私がタイムトラベルできるか、、もしくはスーパーマンみたいに空を飛べるぐらいの凄い事だと思う。吸収可能な分子量では無い大きな塊が腸管を破り血管に侵入して癌細胞を壊す・・・。
開けられた腸管から異種蛋白がどんどん侵入してアナフィラキシーショック・・・危険きわまりない。

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